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日々の生活、サイト更新、趣味愚痴その他をつらつらと。
「さぁ~て、夕メシまでどーすっかな」香の言いなりになるのは癪だが、せっかくの計画を無にしてやる程、悪人じゃぁなくて。何より"俺のため"…ってぇトコロがいじらしい。「まぁとりあえず、ブラつくか」特に行く宛もなく、いつものように街をブラつくコトにした。

駅まで来てみれば、このところの気温上昇にともない、早くも春を先取りしたような女の子たちであふれていた。軽やかな薄手のワンピースの裾をひるがえして歩いたり、胸元の大胆なカットに、カーディガンを羽織ったり。短くなったスカートから覗く足元は、きれいなパステルカラーの靴で彩られていた。ん~眼福x2。まったくもって、春、サマサマだ…と、思わず天に向かって手を合わせてみたり。そんな俺を、周囲のかわいコちゃんたちが、ジロジロと不審そうな視線をくれながら通り過ぎて行った。「ふん…っ!!俺のよさがわからない女の子にゃ、興味ないね。さぁ~て、心も身体も、文句ナシのもっこりちゃんはドコかなぁ~?」

そうしてナンパを繰り広げるコト、数時間。いつものとおり袖にされるコトもあったが、「ふふふ、やぁだぁ~v」と、笑って通り過ぎて行くコたちにも猛烈アタック。その内の何人かとはサ店でお茶したりもしたが、最終的にはそこでthe end。もう一息でホテルまで…という感触のコもいたが、何だかその先へと進む"何か"が足りなくて。あと一歩…というトコロで、尻込みしたり。やっぱり香が待ってるかと思うと、自然、セーブが掛かるらしい。首ねっこ捕まえられてる気さえするぜ。まったく、我ながらよくしつけられたモンだ。

そんな苦笑まじりに、新宿駅のガード下へと足を向ければ、馴染みの情報屋・靴磨きの撤が声を掛けて来た。「よぅ、撤っぁん。いい歳だってのに、相変わらず精が出るな」からかいまじりにそう言えば、情報屋らしくない、その人懐こそうな顔でニヤリと笑った。「へへ…座って客を待ってりゃイイんだから、年寄り向きな仕事だよ。リョウちゃんこそ相変わらず懲りないね。またフラれるのわかっててナンパかい?」「はんっ!!もっこり美女を見て、素通りなんか出来るかってぇの。世界中のすべてのもっこりちゃんが、俺から声を掛けられるのを待ってるのさ♪」鼻息荒く言い放ってやれば、やれやれと肩を竦められた。くっそぉ~…これだから枯れた年寄りはヤだぜ。

「それより撤っぁん。ここんトコ何も聞かないが…何かいいネタ、ないのか?」「そうだねぇ…ここんトコ寒さが続いてたせいか、悪いヤツやも引っ込んじまってたみたいだね。新宿もこれくらい静かならイイ…っと。それじゃぁリョウちゃんちは、干上がっちまうか」自らの失言を詫びてはいるものの、思いの外面白かったらしく。くくく…という忍び笑いが、欠けた歯の隙間から漏れる。「まぁ、平和なのにこしたこたぁないさ。俺としても、七面倒くせぇコトはゴメンだからな」「またそんなコト言って…あんなに毎日伝言板見に来てる、可愛い香ちゃんの身にもなってあげなよ」「は…ん。香が可愛いなんざ、ドコに目ぇつけてやがんだよ。撤っぁんも朦朧したモンだ」香が新宿のみんなに掛け値ナシに好かれてるのは周知の事実だが、こうも目の当たりにされると妙にくすぐったくて。思わず鼻で笑って、肩を竦めた。

「まぁ~た、そんなコト言って…。まぁ、それだけ香ちゃんに惚れられてるってぇ自信があるんだろうがね」それだけ言うと、いかにも悪戯小僧のような意地悪顔で、ニヤリと笑い。「そういやリョウちゃん、今日はお楽しみだね」と、切り出した。「あ…ん?お楽しみ?」意味がわからず、目をぱちくりとすれば。とぼけるんじゃぁないよ、と、小突かれた。「今日はリョウちゃんの誕生日なんだろ?香ちゃん、こないだ楽しそうに買い物してたんで声を掛けたら、リョウちゃんをビックリさせるんだ…って。そりゃぁもう、可愛い笑顔で笑ってたよ」そう言って撤っぁんは、まるで世紀の美女が目の前にいるかのように、うっとりとした眼差しで宙を見上げた。

俺には内緒にしてるクセに、香のヤツ、街のみんなにゃバラしてんのか。こいつらに話したら最後、俺の耳にも筒抜けだってぇの。…ったく、それくらいわかれよな…と思いつつ。嬉しそうに、楽しそうに微笑んでいたであろう、その笑顔が目に浮かんで。思わずこちらまで口元を緩めてしまう。そんな俺を、撤っぁんがにやけた笑みで見てるのが照れ臭くて。「じゃぁ…また何かあったら情報頼むぜ」と、挨拶もそこそこにガード下を後にした。
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【2010/03/26 10:29】 | 未分類
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