FC2ブログ
日々の生活、サイト更新、趣味愚痴その他をつらつらと。
ふと思い立ち、珍しく愛車を高速に乗せてみた。特にどこへと目的はないが、最近は近場あたりを軽くしか走らせてなかったし。「GW明けたんだから、どこでも空いてるわよ。たまには都会から離れてリフレッシュしよう?」と、鶴の一声ならぬ香の一声で、出掛けることに。まぁ、たまには都会のゴミゴミした空気から離れるのもいいかもな。

目当ての目的地もなく、何とは無しに車を走らせて。いつしか山々の稜線が近づいて、周囲に緑の多くなった頃、香がごそごそと膝に乗せたバックをいじりだした。「はい、リョウ」何だと問う間もなく、否と言う間もなく口に押し込まれたそれを舌で転がせば、かすかに甘さのある、くっきりとした味わい。コーヒー味の、飴だった。「ん?嫌だった?他に一口サイズのお煎餅とか、クッキーもあるわよ」「…お前は魔法使いのばーさんか」「失礼ねっ!!久しぶりのドライブなんだから、お菓子くらい持ってきたくなるでしょ?」ぷぅと頬をふくらませるその表情(かお)は、道行く人に飴玉をやるおばちゃんにも、遠足を楽しみにする子供にも見え。思わずくすりと笑っちまった。

そうこうする内にも、都心から幾分離れた山間の中、トイレ休憩も兼ね、サービスエリアに滑り込む。「じゃぁリョウ、出たトコロで待っててね」「…おぅ」女のトイレが長いのはわかっちゃいるが、トイレの前で待ち合わせってのも何だよな。用足ししに行くのがわかってて、互いに用足し終えて顔合わせるんだから、変なもんだ。と、苦笑まじりに香と別れ、男子用トイレに足を向けたところ、何とは無しに後から来る若い男たちの声が耳に入った。

「なぁ、今の女、すげぇよくなかった?」「あぁ、ちょっと背ぇ高いケド、あのミニスカから伸びた足は最高だよな」「男連れかもしんないケド、声かけてみるか」「そうだな、アドレスくらい、交換出来るかもしれないし?」くすくすといういやらしい笑い声に鋭い視線を投げ掛ければ、どこにでもいそうな、頭の軽そうな男たち。…ったく、男だけでドライブしてるあたりで、もう終わってんだって、気付けばいいものをと、嘆息する。それにしても、こんなトコロで無用な嫉妬心を駆り立てられるなんざ、リフレッシュどころじゃねぇ。

他にもよからぬコトを考えるヤツらがいそうな気がして、急いで用を足し、人の出入りがすぐわかるようにと、トイレの入口脇にある、渋滞案内の画面の前に陣取ってみるが。あまりにあからさまなのもどうかと思い、近くの自販機で缶コーヒーを買い、壁に背を預け。赤く点灯する渋滞ラインに目をとめながら、視線はトイレの出入口を、ちらちらと。…ったく、香相手に待ち伏せするなんて、ざまぁねぇや。

そうこうする内に、香がいそいそと出て来やがった。遅ぇよ、と、いらだたしい思いを隠し、軽く反動をつけ、壁から背を離そうとした俺に、香がにこにこ顔で走り寄る。「ごめーん、リョウ。待った?」以外にも満面の笑みを向けられて、戸惑いつつも、香を狙う周囲の輩の視線を感じ、思わずこぼれ出そうな笑みを寸ででこらえる。「…遅ぇよ。しょんべんすんのに、何、そんな時間かかんだ」「…ったく、デリカシーないんだから…」丁々発止の、いつものやり取り。ふふん、俺たちの間にお前らの入る隙なんかねぇんだよ、と、小さく鼻を鳴らした。

「…ん?リョウ、寒い?」と言って、小首をかしげた香が、自ら身につけていたストールを外し、俺の首に巻き付けた。ふわりと立ちのぼる香自身の甘い匂いに、思わずくらりと目眩がする。「ばぁ~か。お前とは鍛え方が違うの」みっともない姿を気どられぬよう、慌てて香の襟元に結び直してやれば、にっこりとした笑顔が返ってきて。その幸せそうな笑みに、らしくもなく照れ臭くなって、懐に忍ばせてたもう一本の缶コーヒーを手渡した。「…ん。これ持っとけ」「…あったかい…」ほぅと一息つきながら、まぁるいカーブを描く頬に缶コーヒーを押し付けた香が、うっとりと目を閉じる。「…ありがと///」「…おぅ。さて、とっとと行くぞ」「うんっ」

ちらりと視線の端に捕らえた男どものからは、羨望と感嘆の眼差しが見てとれて、思わず、くすりと笑みをもらす。「…さ、早く行こう?」駐車してあるミニへと向かう俺の腕に、自分のそれを絡めてくる。そのぬくもりが愛おしくて、絡められた細い腕を引き抜いて、小さな肩を引き寄せた。下手に近づいていい女じゃねぇんだよ、と、周囲に群がるヤローどもに、鋭い視線を走らせて。珍しい俺の仕草に、戸惑いながらも頬を朱く染めて微笑む香に、らしくもない、独占欲満々の満たされた男の笑みを返した。
スポンサーサイト




【2014/06/24 22:45】 | 未分類
|
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可