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初めて銃を手にしたのは、はたしていつのことだったか。自分の歳も誕生日も知らないクセに、ひどく幼く小さな手に、ずっしりとした大きな鉄の塊を乗せられたその重みは、今も記憶の中に鮮やかに残っている。

ライフルをはじめ、型も何もあったもんじゃない模造銃の数々を手にし、毎日が死の瀬戸際だった、あの国で。どうにか生きてこられたのも、物覚えのよさと生来の勘のよさが幸いしたのだろう。そしてすべてが肌にまとわりつくようなあの密林の中から抜け出して、アメリカに渡り。手にした安物のちんけなガンで、裏街道を渡り歩いた。イエローモンキーだのジャップだの、この面構えからベビーフェイスだのと、散々からかわれ、いちゃもんつけられてきた、あの中で。今考えれば、あんなおもちゃみたいなので、よくやってこれたもんだと思う。

しけたギャングの下っ端に入り込み、周りの目をくすねて、小銭を貯めて。裏路地の違法なガンショップで一目惚れしたのが…この相棒。薄暗い店内にずらりと並ぶ様々な銃火器の中、どうしてこいつを手にしたのかは、いまもってわからない。ただ、どうしようもなく惹かれて、店のオヤジを値切り倒して手に入れた。人はおろか、物への執着心などからきし無い俺にとっちゃぁ、ひどく珍しいことで。そんないわくつきもあって、今も変わらず、俺の手元にいる相棒だ。

NYの抗争に危うく巻き込まれそうになったのに辟易して、まだ見ぬ日本に渡ろうとした時も。身軽くした最低限の荷物に一番に加えたのは、こいつだった。お前となら、どこへだって行ける…。いつの間にか手にしっくりと馴染んでいたマグナムを懐に忍ばせれば、この先どんな未来が待ち受けようとも、何も怖くなかった。ハタから見たらただのマグナムだったろうが、そうじゃなく…俺自身の心のよりどころみたいな、精神的な支えでもあったんだ。

そして日本に来て、新宿に根を下ろし。槇村とパートナーを組み、仕事を始めた。槇村の仇を取ったのも…海坊主とサシで勝負したのも。遠い昔、オヤジと呼んだ男を手に掛けたのも…こいつと、だった。俺の生き様…俺のすべてを知っているといっても、過言じゃぁない。そんなお前を手放すなんざ、出来やしない…いや、どんだけ金を積まれたって、誰にもやれねぇや。そしてきっと、これからも、俺の命ある限り。こいつは俺の隣にあるだろうと、確信する。俺の大切な、かけがえのない財産だもんな。

「リョウ~それ終わったら、買い物つきあって?」分解したマグナムのいちいちを、納得のいくまできれいに磨きあげ。そのさなか、つい遠い記憶に思いをはせていた瞬間、キッチンから響いてきた香の声に、ふっと現実に引き戻される。…やれやれ。これまた、誰にもやれない、小うるさくてどうしようもない、もういっこの"財産"が呼んでやがる。(苦笑)「…すまんな。お前はどんだけ手荒くしようが、ふて腐れも怒りもしないが…あいつは放っとくと、えらいことになるから、さ」もの言わぬマグナム相手に、くすりと笑って。「ほー…い」と、いかにも嫌そうに聞こえる返事を、彼女に見留められぬよう、穏やかな笑みを浮かべながらそっと返した。
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【2014/11/18 19:40】 | 未分類
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