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足元がひんやりと感じはじめたフローリングに、いつの間にか、毛足の長い、ふんわりとやわらかなラグが敷かれ。ソファには、赤や緑のタータンチェックのクッションが、窓辺には白く真ん丸の、頭に赤いバケツを被った雪玉人形が置かれるようになったなら。万年金欠の冴羽家にも、クリスマスの気配が見えてくるってぇトコロだ。家計に見合うそれなりのツリーは、未だ納戸の奥底で冬眠中。まぁそれも近い内、香の手によって日の目を見るだろう。茶色い目ン玉きらきらさせて、そりゃぁ楽しそうに鼻歌なんぞしながら飾りつけるんだからな。イベントごとを避けて通るなんて、間違っても出来やしない、いつまでたってもガキなんだ。

そのくせ、リビングの入口あたりにゃ、つややかな光沢感のある、赤とゴールドのリボンで飾られたヤドリギなんかが吊してあるが…その意味するところを理解してるかってのは、甚だ疑問。どーせ店先のディスプレイに気を取られたか、店員に躍らされたかってトコロだろ。日頃ハンマー振り回してるくせに、"おすすめ"ってヤツにゃ、てんで弱いんだからな。

気がつきゃいつの間にか、こうしてクリスマスを過ごすのが当たり前になってきた。身にまとわりつくようなねっとりとした空気を掻き分けて過ごした密林はもちろん、天を突くかに聳え立つ、摩天楼の中でさえも。その日その日を生き抜くのに精一杯で、きらきら輝くイルミネーションやら、カップルや家族づれが楽しそうに…しあわせそうに微笑みあう姿なんざ、俺には一生、関わり無いものだと思っていたのに。クリスマスだろうが何だろうが、俺には何ら関係ないことだと思ってたのに…。まったく、どうしてこんなことになったんだかな。

とはいえ、楽しそうに…しあわせそうに微笑む香を見ることは、何にもかえがたい、至福の瞬間(とき)。街中のカップルのように、洒落たカッコでディナーに行くだの、きらめく石のついたプレゼントを用意するだの。きらきら輝くイルミネーションへと繰り出すだの…きれいにしつらえたシティホテルに部屋を取るだの。ンなコト誰がするもんかと言い張ったら、街中のみんなから総スカン。甲斐性無しだの、人で無しだの、果てにゃ頭の線がイカレてるだのと、まったくひでぇ言われよう。…ったく、いったい何だってんだよ。

たまにゃドコか行くかと聞いてみたトコで、「どこも混むし高いからいいわよ」との返事が返ってくる始末。そう言われたら、しかたないだろ?まぁ俺にしても、わざわざ混雑する人込みン中に出掛けてくのも気乗りしないし、懐寂しいトコロをつつかれる心配もなく、ありがたい限りの返事なのだが。世間様では、なかなかそうは思ってくれないようだ。

「ねぇリョウ?クリスマスケーキ、生クリームのとチョコのと、どっちがいい?」「…甘くないんなら、どっちでも」「ん、もう…つまんないんだからっ」今年も手づくりのケーキを予定している香は、料理本とにらめっこ。眉間にシワをよせるほどのモンかねと思いつつ、お前がつくるモンならどっちだってかまわねぇよと、聞こえないほど小さな声でうそぶいてみたり。おいおい、天下のシティハンターはドコへ行ったんだって?…ふん。

尻に敷かれてるだの、鼻毛を抜かれてるだのと言われようが、アットホームの何が悪い。誰にも邪魔されない、惚れた女と二人きりのクリスマス。俺だって、今日この日くらい、それを望んだってバチは当たねぇだろ。なぁ、真っ赤な服にヒゲを生やした小太りのじいさん?(笑)
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【2014/12/24 20:34】 | 未分類
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